Cherry tree.〜さくら。〜


「へっくしょ!!」

大きなくしゃみして、楽屋に飛び込んできたのは…長瀬。

「花粉症男到着。ぎりぎり間に合ったな。」

携帯の液晶覗いて、ちょっとからかうように松岡が言った。

「おぃおぃ。大丈夫かぁ〜?」

今度は半分苦笑して、リーダーが声をかけた。

「はい゛…。なんとか。」

鼻声でずずっとすすりながら答える長瀬。
すっげーつらそう。

「今年は花粉凄いって言うからなー。」

山口クンが半分立ち上がって言った。
そーやぁテレビとかでよく騒いでたな。

…この様子じゃ外に出かけるなんてできないだろーな。
なんて、ほんのちょっと寂しく思っちゃうオレってまだまだ…。

「太一クンは平気なん゛ですかぁー?」

「ぅっわぁ?」

色々考えてるうちに長瀬が目の前にしゃがみこんでいた。
あまりに突然で声が裏返った。

「なに吃驚してんすか。」

「いや。色々考えてたから。」

「ふぅーん゛。」

ちょっと拗ねたみたいな声を出す長瀬。

「ちょっとは心配してくださいよー。俺、ボーカルなんすから。」

「そだな。一応ボーカルだもんな。」

「一応ってな゛んすかー!!」

「やめやめ。鼻水飛ぶ。」

たまたま手元にあったティッシュボックスを長瀬に突き出す。
ちょっと不機嫌そうに長瀬は受け取って鼻をかんだ。

あんなにつらいもんなんだな。
必死に鼻をかむ長瀬を見ていると自分までつまってきそう。

『ダイジョウブ?』

の一言が言えないオレって結構ヘタレかも。
一応メンバーだし…?
その点では声をかけてやりたいけど。

一回ゴクリと飲み込んで、一言言おうと口を開いた。

「だっ…。」

「時間ですよーっ。準備お願いします!」

途端、マネージャーからの声がかかった。
タイミング最悪…。

「なに?太一クン?」

何か言おうとしたのがわかったのか長瀬が顔を覗き込むように言った。
その動作、未だに好きじゃないけど。

「なんでもないよ。」

ちょっとひきつってるよな。今のオレの顔。

「でも…。」

「オラッ。んな事いーの。行くぞ。」

これ以上顔見てられないから。
長瀬の背中押して、レコーディングに向かった。



サンプル…というのかキリリク小説前半です。
後半は請求してみてクダサィ。